最近では、金属製の刃物(チップソー)のでなくナイロンカッターを使う方が増えてきています。安全性や刈取り後の仕上がりの良さから好まれています。ナイロンカッターの種類やナイロンコードの種類もかなり多く増えてきました。今回はそのナイロンカッターのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
そもそもナイロンカッターとは?
ナイロンカッターとは、草を鋭い金属刃で切断して刈り取るチップソーなどとは違い、細長いナイロン製のコードを高速で回転させてムチのように草に叩きつけ粉砕しながら刈っていく草専用の刈刃のことです。
ナイロン式のメリットは?
では実際に金属刃に比べて、ナイロンカッターを使用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?いくつかの視点から見ていきましょう。
安全性
ナイロンカッターは鋭利な金属刃と違い切るのではなく草を叩いて粉砕します。草のように柔らかいものは砕きますが、ある程度の硬さのあるものは砕くことはありません。つまり、金属刃が人体に当たれば大けがをしますが、ナイロンカッターでなれば万が一人体に接触しても内出血にはなるでしょうが、切断するような大けがにはなりにくいです。
仕上がり
金属刃だと石や土に接触するとどうしても刃こぼれしてしまうので、刈り取るときは地表から少し上を刈ります。しかし、ナイロンカッターの場合は刃こぼれの心配がないので地表にコードを当てながら刈り取ることが出来ます。よって仕上がりがとてもきれいに仕上がります。
ナイロン式のデメリットは?
安全で仕上がりもきれいなナイロンカッター。しかし、そのメリットとは反対に気を付けなければならないこともあります。では、実際にナイロンカッターはどんなことに注意が必要になるのか見ていきましょう。
危険性
金属刃と違い作業者への危険性は少ないですが、周囲の人や車、建物のガラスなどに注意が必要です。ナイロンカッターは叩き切る為、小石に接触した場合に周囲に飛散します。その威力は車のガラスを簡単に割ってしまうくらいです。タニグチ商会のお客様でも年に数件事故を起こしトラブルになったと聞きます。もし人や車、建物のガラスなどが周囲にあるときには、防護板を設けて飛散物から守ることが大切です。
作業性
ナイロンカッターは比較的柔らかい草に対してはスムーズに刈ることが出来ますが、ススキなどの硬く密度の高い雑草に対しては苦手です。当然雑木などは全く切ることが出来ません。雑草が大きく太くなる前に刈り取ることがポイントになります。
整備性
ナイロンカッターを使うにあたり、金属刃の使用の時よりも特に注意しなければいけないのがメンテナンスです。メンテナンスを怠ればエンジンやその周辺部品を痛めてしまいます。要点をいくつかまとめたので、次の項目はしっかりと行ってください。
粉塵によるトラブル
ナイロンカッターを使用すると地表に接触しながら刈ることが多いので、現場には砂埃が舞い上がります。そんな中エンジン式の刈払機は、エンジンのエアクリーナーの目詰まりや、エンジン周辺の汚れによりエンジントラブルに繋がることがあります。そのため使用後は小まめにエアクリーナーの点検とエンジン回りの清掃をしてください。
クラッチの周辺のトラブル
エンジン排気量の小さい(22cc以下)でナイロンカッターを使用したり、ナイロンコードを必要以上に長く伸ばして使用した場合、クラッチやその周辺が故障します。
ナイロンカッターはコード自体の空気抵抗と草を叩いた時の反発によって回転の抵抗が大きくなる為、エンジン回転数が落ち込みやすくなります。回転数が落ち込むとクラッチの接続が弱くなりクラッチが滑ります。滑ったことでやがてクラッチやその周辺が高温になり部品の溶解やベアリングの破損に繋がります。
対策としては、エンジン排気量が23cc以上のものを使用してもらい、ナイロンのコードも必要な長さ以上に伸ばさないことが大切です。また、エンジン回転数が落ち込むような使い方は避けるようにしてください。
評価
使用上の注意点や、小まめなメンテナンスは必要になりますが、正しく使って頂ければトラブルなく安全かつ仕上がりもキレイに草刈りが出来ます!
安全面では特にメリットが期待できます。金属刃では本当に死傷事故が多いので、是非ともナイロンカッターの使用をおすすめしていきたいと思います。